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第7話 論理を拒む奇妙な闇 STAR DRIVER 輝きのタクト Early Days

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事前に<第6話 雪山のきずな>をお読み頂いた方が、より楽しめる構成となっております。

STAR DRIVER 輝きのタクト 二次創作

 以下の作品は、「STAR DRIVER 輝きのタクト」の二次創作作品です。公式作品とは一切関係ございませんので、その点をご承知置きの上、お読みいただければ幸いです。

STAR DRIVER 輝きのタクト Early Days 第7話 論理を拒む奇妙な闇



-1-


 人妻女子高生ワタナベ・カナコが結婚する前、もし日本にいたならば中学生になろうとする頃のことである。カナコは、ルームメイトのミレーヌ・アラゴンと共に、新たなクラスへと移った。
 "la diligence du lumiere"「導きの光」における初等教育を無事に終了した子どもたちは、それぞれの適正に合わせて専門教育に入ることになる。カナコとミレーヌのクラスは経済専攻だ。

 経済専攻における子どもたちのミッションとは、実社会におけるビジネスの仕組みを体感し、そこで生き残るすべを見出すことである。
 一般には天才と呼ばれる子どもたちであるため、机上における経済理論等の習得は初等教育で既に完了している。しかし、グラントネール財団に必要なのは、どのような形であれ、現実の社会で実力を発揮する人材なのだ。ゆえに、まだ幼いと言える様な年齢から、実戦経験を積むことが推奨されるのである。


 今年、新たに経済専攻に編入された子どもたちは、3組6名いる。
 カナコ・ミレーヌ組の他のメンバーは、アタリ・コウ&ケイ・マドカ組、ジョン・ウィリアムス&トニー・マッケンジー組である。

 カナコやミレーヌ以外の4名は、グラントネール財団がアメリカで運営するホームで初等教育を終えてきたメンバーである。
 これは1ヶ所のホームに同じ人種・民族の人間が固まりすぎないようするというグラントネール財団の将来を見越した配慮の結果であり、世界各地に点在するホームで初等教育が行われている。

 そんな彼ら6名が今後3年間で挑むのは、1千万ユーロ、日本円にして約15億円を元手とした資産運用だ。
 二人一組となった彼らは約15億円の資本金を持つ法人の共同代表となる。もっとも表向きのCEOにはグラントネール財団が派遣した、押出しの利く年齢の人物が就任し、一般社会では若すぎると見られる彼らの、社会に向けた仮面となってくれる。もちろんこの人物は、彼らが指示した以外の仕事はしない。あくまで彼らは子どもたちの仮面であり、仮面は勝手に仕事をしないものだからだ。
 もしこれら以外に必要なものがあれば、彼ら自身が手配しなければならないのである。

 彼らに与えられた企業の運営方針に特に縛りはない。あくまで彼らの自由だ。処罰の対象にならないのであれば、法律的にグレーなゾーンでの活動も許容される。
 二人は共同経営者であるが、必ずしも共同で経営に当たらなければならないわけでもない。一方が経営能力に秀でているならばそれを一人に任せ、もう一人は現場で活躍しても良い。資金を配分し、それぞれが勝手に活動しても良い。ただし、二人一組の合計で結果を評価するということだけは変わらない。
 また、結果として金額だけがただ積み上げれば良いというものでもない。損をしないことは絶対だが、集める金額の多寡が重要なのではない。お金に振り回されず、いかに上手くお金を使いこなすか。いまはその技量が問われるのである。


 カナコとミレーヌは、それぞれの長所を生かして役割分担を行うことにした。簡単に言うと、カナコがお金を集め、ミレーヌがそれを使うのだ。
 数学的直観力に優れたカナコは、膨大なデータを分析し数字の変動を読むのに優れている。この能力が大きな力を発揮する場所、それが株式市場や先物市場などのマーケットだ。ゆえにカナコは、与えられた資金のほぼ全額を投入して、莫大な利益を得て、運用する資金の規模を一気に大きくしてしまった。
 そうして生まれた余剰資金はミレーヌに任される。ミレーヌはお金自体よりもそれを使う人間を見ることに優れていた。ゆえに彼女が情報を集め実際に経営者に会い、投資先となる企業を選定した。

 ミレーヌとカナコの役割分担は大成功を治めた。
 お金はお金のままであるだけではただの数字だ。確かに潜在能力は高いのだが、何にも使わなければ、腐りもしないけれど役にも立たない。それを社会的影響力へ変換するのがミレーヌの手腕だ。
 カナコが稼ぐ元手を直接・間接的に投資し、M&Aなどの手法も駆使することによって、二年の後には二人の経営する会社は、ヨーロッパ財界において一定の影響力を有するようになっていた。


 そんな成功を収めた二人の耳に、ライバルである二組のうちの一組、アタリ・コウとケイ・マドカの活躍の情報が入ってきた。

「カナコ、アタリ・コウとケイ・マドカが経営する企業が加速度的に影響力を増してきているらしいわ。わたしたちの法人とは分野が違うので、直接的にぶつかることはないかもしれないけれど、末端のいくつかの会社では、彼女たちとの競合が起こっているみたい。いま、彼女たちについて情報を集めさせているわ」
「あなたの経営手腕は信頼しているわ、ミレーヌ。そもそも彼女たちはどんな業界を攻めているのかしら」
「それが、ざっと調べたところでは、芸能業界、エンターテインメント業界、食品業界と、いくつか並べて見たところで全く関連性が見えないの。こんなこと、今までなかったことだわ」

 ミレーヌは人間の本質を見抜くことに優れている。この能力を利用して、順調に彼女たちの会社を経営してきたのだ。その彼女が目的を見抜けないということは非常に珍しい。

「わたくしたちはわたくしたちの正しいと思う道を邁進していけば、それでよいことよ。もし彼女たちと対立するときが来れば、正々堂々渡りあえばよいわ」
「カナコのいうとおりね。でもそのときのために、もう少し情報を調べておくわ」
「お願いね、ミレーヌ」



-2-


 カナコとミレーヌがそんな会話を交わす二年ほど前のことだ。アタリ・コウとケイ・マドカは、自分たちの方針を決定していた。
「お金がいっぱいね、コウちゃん。マドカ、いっぱいやりたいことがあるから、どれにしようか少し迷っちゃうな」
「それなら全部やればいいさ。まずは何からする?」
「そうねえ、じゃあ、かわいいものを見つけに行きましょう?そして、マドカたちだけのものにしてしまいましょう」
「そうだな。わたしたちの能力ならできるだろう」
 そういうと二人はパリの街へと向かった。

「コウちゃん、あのお菓子、かわいい!マドカ、あのお店が欲しいな」
「そうだね。じゃあ、あのお菓子店からはじめよう」

 そういうとコウは、マドカを連れて店に入った。店内には売り子のアフリカ系女性と店の経営者のフランス人女性がいる。
 コウは注文をとりに来た女性を無視して、経営者の女性に話しかけた。

「マダム、突然だがこの店を譲って欲しい」
 目の前の少女が何を言ったかよくわからない。そんな表情をしていた女性だったが、ようやく理解すると言った。
「…ここはお菓子を売る店よ。変な遊びは別の場所でやって頂戴!」

 当たり前のことではあるが、マダムはコウとマドカを追い払おうとする。
 売り子の女性は、マダムの機嫌を損ねないよう、二人を店から離れさせようと話しかけてきた。
「マドモワゼル、またお菓子が欲しいときにいらしてください。外までお送りします」

 だが、コウはその呼びかけを完全に無視すると、懐から1本の針を取り出しその針穴を目の前にかざして叫ぶ。
「コフライト第1フェーズ、針の穴!」

 その声の響が消えたとたん、コウは床に倒れこんでしまった。それを見た売り子の女性は、驚いてコウの身体を助けおこそうとする。
 そのときいきなり脈絡もなく、お菓子店の経営者のマダムが言った。

「わかったわ。あなたたちにこのお店を譲りましょう。契約書を出して頂戴」
 そう言うマダムに対し、マドカが心得た様子で契約書を差し出す。マダムは契約書を熟読することもせずに、簡単にサインをしてしまった。

「これでこの店はあなたたちのものよ」
 そう言って、契約書をマドカに渡してきた。
「これでこのお店のお菓子はマドカだけのモノ…マドカ、感じちゃう」
 マドカはそう言うと、いつの間にか目を覚ましたコウと共に、店から出て行った。


 その後、コウとマドカの代理人は、経営者の女性がサインをした契約書を持ってこの店を訪れた。
 当の経営者の女性は、そんな契約などしていないとわめき立てるのだが、契約書に全く不備はない。店側の弁護士も登場し協議となったが、契約書に不備もなく、売り子の女性の証言もあったため、結局、店の所有権はマドカとコウの会社に移ることになった。

「やっぱりコウちゃんの第1フェーズって、おもしろいね」
「そうかな。でも、のりうつるのはやっぱり若い女の子のほうがいいね。おばさんはダメだ。色々と鈍すぎる」
「それじゃ、次のかわいいものを探しに行きましょ」
 そういうと二人は、また街へと消えていった。


 同様の手法により、コウとマドカの会社はどんどんと規模を拡大していった。
 買収・乗っ取りの対象となるのはマドカが気に入ったものであるため、その選択に論理的な根拠はない。そして、買収した企業は絶対に売却するような理由がない優良企業ばかりで、契約締結後に必ず契約不履行に関するトラブルがおきた。
 しかし、弁護士や裁判所が入ってくると、契約書は完全に法的に有効であり、また、取引が政党に行われたことを証言する第三者もいたため、最終的に買収は成功裏に終わった。残ったのは、事情を飲み込むことができない売主の怨嗟の声と、理屈は分からずとも業務拡大を必ず成功させるという奇妙な名声のみだった。

*****


「アタリ・コウとケイ・マドカの経営する企業は、順調に業務を拡大しているみたいね」
 カナコが作業の手を止め、ミレーヌを見て言った。
「確かに業務は拡大しているわ。でも、その周囲には、代々続いたブドウ農園とワイナリーを手放し一家心中した家族や、恋人を奪われた女性、人気商品にも拘らず一般への販売を取りやめた商品など、不幸な人間と、論理的に理解できない奇妙な闇を数多く生み出している。こんなやり方は、選ばれた人間のすることではないわ。醜い悪魔の所業よ」
 ミレーヌは相当憤っているらしい。
「確かにあなたの言う通りね、ミレーヌ。あの二人はブレーキの代わりにアクセルが2つあるスポーツカーみたいなものよ。ケイ・マドカがアクセルを踏んで暴走し、アタリ・コウがブレーキを踏んでいると見せかけて、やはり加速している。そんな印象があるわ。あまりにも危険ね」
「ええ。もう少し調べてみましょう。彼女たちが一体何をやっているのか、詳しく知る必要があるわ。そしてその結果によっては…」
「…彼女たちの車にブレーキをつける、そんな役回りの人間が必要になるわね」
 そういうと、彼女たちは少し先の未来を思いやった。

<了>





第1話 そして物語は始まる

第2話 夢、絶望、それでも信じられるもの

第3話 目覚める刃

第4話 解けるしがらみ、絡むしがらみ

第5話 離陸前夜

第6話 雪山のきずな

第8話 南南西に進路をとれにつづく>

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