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第2話 夢、絶望、それでも信じられるもの STAR DRIVER 輝きのタクト Early Days

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STAR DRIVER 輝きのタクト 二次創作

 以下の作品は、「STAR DRIVER 輝きのタクト」の二次創作作品です。公式作品とは一切関係ございませんので、その点をご承知置きの上、お読みいただければ幸いです。

STAR DRIVER 輝きのタクト Early Days 第2話 夢、絶望、それでも信じられるもの



-1-


「いちめん染める花は空へと昇るひかり。幾億のいぶきたち。いま、世界が生まれ変わる~♪」
 夕日が沈みかける南十字島の浜辺に、シンドウ・スガタとニチ・ケイトは座っている。彼らが見ているのは夕日でも海でもなく、目の前で美しい歌声を奏でるアゲマキ・ワコの姿だ。ランドセルを足元に投げ出し、ただ一心に歌っている姿は、光り輝いて見える。
「やっぱりワコの歌はいつ聴いても上手いな」
「私もそう思う。ワコは歌手になれば良いと思う」
 スガタとケイトが口々にワコの歌声を褒める。
「そうかな~、そんなに上手いかな~。照れちゃうな~」
 そう言って体をくねらせてもだえるワコだが、満更でもなさそうだ。

「それで、大会への申し込みは済んだのか?」
 スガタがワコに問いかけたのは、一週間後に開催される南十字島の夏のイベント、歌声じまん大会への申し込みのことだ。
 毎年、夏祭りの花火大会に並ぶイベントの一つとして開かれているこの大会だが、今年はゲスト審査員として、東京からプロ歌手のウサダ・ヒカルがやって来るのだ。もっとも、無料でバカンスに招待する代わりの仕事ということで、先方もそれほど気合が入っているわけではない。だが、ワコにとって、チャンスはチャンスである。

「うん、もう申し込んだよ。おばあちゃんはあんまり出て欲しくないみたいだったけど、毎日お願いして、やっとOKをもらったんだ!」
 嬉しそうにワコが報告する。しかし、どうやらワコの祖母であるアゲマキ・アゲハは、大会の出場に反対していたらしい。
「それならよかった。大会まであと一週間だ。あんまり練習してのどを痛めない様にな。当日は応援に行くから」
「私も応援にいく。無理しないでがんばって」
「うん。ありがとう。一生懸命頑張るね。チャンスはものにしなくちゃね。二人に応援してもらえれば、なんかやれそうな気がする!」
 口々に応援するスガタとケイトに、ワコは笑顔で健闘を誓った。

*****


「南十字島歌声じまん大会こどもの部、優勝はエントリーナンバー8番、アゲマキ・ワコさんです!」
 歌声じまん大会の司会をつとめる男性が、優勝者を発表した。
「やった~!!優勝だ~。スガタくん、ケイト、やったよ~」
 8番のナンバープレートを胸に付けた少女が、壇上でとびはね、客席に向けて手を振っている。アゲマキ・ワコだ。

 喜びも冷めやらぬうちに表彰式は始まり、ゲスト審査員であるウサダ・ヒカルから、ワコに優勝メダルがかけられた。
「ワコちゃん、おめでとう!いつか東京に出てきて、一緒にステージで歌いましょうね」
 ウサダ・ヒカルから、ワコに激励の言葉がかけられる。
「はい!絶対に東京に出てプロになります!」
 ワコは元気良く、その激励に応えている。そんな熱い想いを胸に抱いたまま、その夜は更けていった。



-2-


 大会翌日。
 スガタとケイト、そしてワコの3人は、浜辺から少し離れた岩場に遊びに来ていた。浜辺には観光客も多いが、こちらの岩場は足を滑らすと怪我をする危険もあるため、あまり人が近づかない。実際いまも、周囲にいるのは3人だけだ。

 今日は昨日のワコの健闘を称え祝勝会ムードのはずなのだが、肝心のワコにいつもの元気がない。昨日の優勝の興奮はまだ冷めていないはずなのに、どうもおかしい。
「ワコ、元気がないようだけれど、何かあったのか?」
 スガタが元気のないワコを気遣う。
「ワコの元気がないと私まで悲しくなる」
 普段はあまり積極的に話すことのないケイトも、ワコがおかしいことに気づいているらしい。
「心配かけてごめんね。なんでもないの。」
 ワコは気丈にそう答えるが、スガタの方はそれではおさまらない。
「なんでもないって感じじゃないだろう?変な遠慮はするなよ。友だちじゃないか」
 そういってスガタが話を促した。しばらく3人の間に沈黙が流れる。

 その沈黙を断ち切るように突然、ワコが立ち上がったかと思うと、目の前の少しとがった岩場に飛び乗り、ゆっくりと話を始めた。
「実は…、昨日の歌声じまん大会の優勝、おばあちゃんがあんまり喜んでくれなかったの」
 そういうと、ワコはとなりの岩場に飛び移る。ワコの運動神経は良い方とは言え、その岩はあまり足場が良くないためぐらつく。そのぐらつく体を、両手振りながら、懸命にバランスをとっている。
「そうなのか。どうしてだろう?優勝なんて、誰でもできるわけじゃないのに…」
「…わかんない。わたしも、おばあちゃんには喜んでもらえると思ったんだ。だから急いで家に帰ってメダルを見せたんだけれど…。でも、そうか、って言ったっきり、何も言ってくれなくて…」
 そう言ってまた元の岩に飛び移る。その表情は、逆光のせいもあり、よく見えない。

「おばあちゃんも、嬉しすぎてなんて言っていいか分からなかっただけなんじゃないかな?私とおんなじで、あんまりたくさん話す人じゃないし…」
 ケイトも不器用な言葉でワコを慰めようとする。
「そうなのかな?」
「そうだよ!」
「そうだといいなっ、と」
 またしてもとなりの岩に飛び移ったワコの足元が狂う。上手く着地できなかったワコは、バランスを崩して、海の方に転落していった。
「きゃあ~っ」
 海面までの高さは4メートル。高すぎるというわけではないが、下には岩もあるので、落ちても安心という高さではない。

「ワコ!」
 それを見たスガタが立ち上がり、落ちた岩まで駆けよる。ケイトも一歩遅れて駆け寄ろうとする。
 その瞬間、時が止まった。

*****


「…イテテ」
 先ほど岩場から転落したはずのワコだったが、気づいて見回すと、そこは海辺ではなかった。それどころか、南十字島でもない様に見える。
「…ここはどこ?スガタくん?ケイト!」
 ワコは直前まで一緒にいたはずのスガタとケイトの姿を探すが、どこにも見当たらない。
「隠れていないで出てきてよ!ねえ、スガタくん!ケイト!」
 必死に呼びかけるワコの声に応えるものは誰もいない。周囲はオーロラのような燃える光に包まれており、誰の姿も、建物すらも見えない。

 ふと上を見上げたワコの目に飛び込んできたのは、天空に描かれた紋様。幾何学的な対称性を保ちつつ、その中には何かを模った様な模様が描かれた、魔法陣とでも呼ぶべき紋様があった。
「あれはなに?」
 そうつぶやくワコの目は、その紋様にある4つの円陣のひとつに注がれていた。そこには「Y」に似た紋様が描かれており、中心にはピンクの球体と何やら影が見える。
「わたし、あれを知っている気がする…」
 そういうと、どこかぼんやりとした雰囲気をまとい始めたワコは、ついに彼女の人生を変える言葉を放った。
「…アプリボワゼ」

 ワコの身体が光に包まれ、天空の紋様、先ほどワコが注目していた球体に向かって翔んでいく。気づくと、ワコの体はその球体の中に入っていた。
「…ウァウナ」
 そうつぶやいたワコがいるのは、人型の巨大ロボット、その腹部にある球体の中だった。いま、ワコの中には様々な記憶が流れ込んでくる。そう、太古より受け継がれてきた記憶だ。

 この人型ロボットがサイバディということ。全てのサイバディは、いまいるゼロ時間に封印されていること。この封印は、気多の巫女、日死の巫女、ひが日死、皆水の巫女という四方の巫女により守られていること。この4人の巫女は南十字島から外に出ることができないこと。そして、自分がその一人、皆水の巫女であること。
 突然頭の中に流れ込んで来る記憶の嵐に飲み込まれ、再びワコは意識を失った。

*****


「…ワコ、ワコ!」
 遠くからスガタくんの声が聞こえる気がする。そんなことを思いながら、ワコは意識を取り戻した。目の前にはスガタやケイト、ジャガーやタイガーがいて、ワコを心配そうに見つめている。
「…あれ?わたし、どうしたんだっけ?」
 そんなことを言いながら、ワコはゆっくりと身を起こしてあたりを見回した。あたりには見慣れた島の景色が広がっている。
「まだあまり動かない方が良い。ワコは岩場から海に落ちたんだ。」
 スガタがワコに寝ているように促しつつ、状況を説明した。
「そうか、わたし…。…うん、もう大丈夫。今日は帰るね。」
「おい、ワコ!」
 引き止めるスガタの声を振り切るように、ワコは走り去っていった。そのときの彼女の表情を見た者は誰もいない。

*****


「今日はおかわりをしないのかい?」
 ワコの祖母アゲハがそう問いかける。
「うん、もうおなかいっぱい。今日は疲れたし、もう寝るね」
 そういうとワコは茶碗を台所に片づけ、自分の部屋へ引き揚げて行った。
「ワコ…。もう時が来てしまったのかい…」
 そういった祖母の声は、ワコには届かない。


 早々に部屋に引き揚げ、ベッドに潜り込んだワコだったが、いっこうに眠気が襲ってこない。頭に浮かぶのは、先ほどの不思議な空間、ゼロ時間での出来事ばかりだ。
 そうして何時間が過ぎただろう。先ほど思いだした膨大な記憶、サイバディや巫女に関する記憶が自分の記憶として受け止められるようになって来た頃、それは突然やってきた。悲しみだ。

 巫女は島の外に出ることができない。つまりワコは東京に行くことができない。東京に行けなければプロの歌手にはなれない。だからワコはプロの歌手にはなれないのだ。
 眠れないベッドから出て、机に飾ったメダルを手に取る。昨日の歌声じまん大会の優勝は、はるか昔の出来事のようだった。
「…うっ、うぅ、あぅぅ…」
 押し殺したワコの泣き声が、寝静まった家に響く。ワコの手に持ったメダルが強く握りしめられる。
 そしてそのままベッドに飛び込み、枕に顔を押し付けて、ワコは泣き続けた。


 気がつくと、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。枕は涙でぐっしょりと濡れている。だがまだ夜は明けていない。

 ワコは起きあがるとベッドに腰掛け、涙にぬれた顔をシャツで拭った。乾いたシャツは顔にこすれて、少し痛い。
 ワコは、すっきりした目でもう一度、握りしめ続けていた優勝メダルを見てみた。月の薄明かりが差しこむ部屋で、そのメダルは鈍く光り輝いている。そう。昨日のワコと今日のワコでは置かれた状況は完全に変わってしまったが、メダルは変わらず輝いている。それは信じられることだ。

「グーッ」
 静かな部屋にワコのお腹の音が鳴り響く。
「…おなか、空いたな」
 そうつぶやくと、ワコは足音をたてないようにこっそりと、台所へと向かった。

<了>






第1話 そして物語は始まる

第3話 目覚める刃につづく>

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