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第11話 いつもあなたのそばにいる STAR DRIVER 輝きのタクト Early Days

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STAR DRIVER 輝きのタクト 二次創作

 以下の作品は、「STAR DRIVER 輝きのタクト」の二次創作作品です。公式作品とは一切関係ございませんので、その点をご承知置きの上、お読みいただければ幸いです。

STAR DRIVER 輝きのタクト Early Days 第11話 いつもあなたのそばにいる


-1-

「どれほど美しいものでも、時が過ぎ去れば、醜く変わり果ててしまう。それは人の心でも同じだ」

 島で最も美しい夕日を見ることができる丘の上の展望台。最も東から遠い場所。始まりの前の終わりの方角。そんな位置にあるベンチに、ひとりの男が座っていた。

 男の前にはイーゼルが立てられており、そのイーゼルにはキャンバスが載せられている。男は左手にはパレットを、右手には絵筆を持ち、キャンバスの上を盛んに走らせている。一瞬の風景をキャンバスの上にとどめているのだ。
 そんな男が、絵筆を走らせる手を休めることもなく、丘の階段を登りきった所で人の気配に気づき立ち止まったニチ・ケイトに、声をかけて来た。雰囲気で若い男だというのは分かる。しかし、男の表情は夕日に隠され、よく見えない。

「だが、絵は美しいものを美しいままに残すことができる。絵の中に描かれたものは、その時を止めるんだ。だから人はいつまでも、美しいものを美しいままに愛で続けることができる。もし絵がなければ、人は醜くなり続ける世界に絶望し、全てを破壊してしまうことだろう。キミもそう思わないかい?」

 突然、知らない男に話しかけられたニチ・ケイトは、戸惑いを感じる以上に、恐怖を感じた。男の雰囲気がそうさせるのだ。踵を返して走り去り、誰かに助けを求めに行きたい。
 しかし、助けを求めたい人は自分を見てはくれていない。だから、自分で自分を助けるしかないんだ。そうして自分を奮い立たせ、ケイトは男に言葉を返した。

「あなたはいったいだれ?どうしてわたしに話しかけるの…?」

 ケイトのその言葉を聞き、男は初めて絵筆を走らせる手を止めた。そうしてベンチから立ちあがり、ケイトの方を振り返る。
 夕日を背にした男の顔は、やはり思った通り、若い。スタイルと顔の良さが相まっており、もてそうな雰囲気がある。だがその表情は柔和でありながら、目はまったく笑っておらず、ケイトには恐怖を感じさせた。ケイトの直観は正しい。

「オレの名前はミヤビ・レイジ。見ての通り絵を描いている。キミに話しかけたのは、キミに興味があるからだよ。世界に絶望し、人に絶望し、それでもまだ人を求めている…。キミはオレと同じさ。愛する人が自分を見てくれないのは辛いかい?ニチ・ケイトさん、いや、ひが日死の巫女さん、と呼んだ方が良いのかな?」

 男、ミヤビ・レイジは、そう言うとケイトに向かって、うすら寒い笑みを浮かべた。思わずケイトは、一歩、後ずさりそうになってしまう。

「まあそう警戒しないで欲しいな。立ち話もなんだから、このベンチに座ってくれないかな?…おっと、そのまま帰らない方がいい。きっとキミは後悔する」

 レイジは、ケイトの目を見つめながら言う。その言葉に機先を制され、ケイトは逃げ出すタイミングを失ってしまった。それにこの男は、あの人を知っている。あの人に迷惑はかけられない。自分で何とかするしかないんだ。
 そう考えたケイトは、レイジが指し示すベンチへとゆっくり近づき、レイジから距離をとるように座った。レイジもその意をくんだように、ケイトから離れて座る。

「それで、用件は何ですか?こんな人気のないところで中学生を呼びとめて、何をしようというんですか?」
 ケイトは若干の挑発を込めて、強気でレイジに問いかけた。しかし、レイジの方を見ることはできない。ケイトが見ているのは、彼女の正面に広がる夕焼けの海だ。

「おやおや、これは相当警戒させちゃっているのかな?まずはその誤解を解いておかなくちゃね。心配しなくていい。オレはキミを女としては見ていない。ただキミを、対等なパートナーとしてスカウトに来たんだよ」
「シチュエーションといい、まるでプロポーズみたいなセリフですね。あなたならいくらでも、わたし以外の女の人を落とせることでしょう。他をあたってみたらどうですか?」
 ケイトの返答は頑なだ。
「う~ん。どういえば伝わるのかな?…そうだ!」
 そんな言葉が聞こえて来たと思った瞬間、ケイトの隣から強い光が感じられた。目の前の夕日よりも輝く光。そのことに驚いたケイトは、あわててレイジの方を見た。そこには、胸のシルシから光をあふれださせる、レイジの姿があった。
 ケイトがそれを見たことをレイジがみとめた瞬間、徐々に輝きは弱まり、元の風景に戻る。

「これで理解してもらえたかな?オレとキミは、一緒なんだよ」
 ケイトは、そう言うレイジの顔をじっと睨みつけた。

「さて、話をもどそうか。オレたちは島の地下に隠されたサイバディの封印を解こうとしている。それにはキミたち、四方の巫女の協力が必要だ。喜多の巫女、日死の巫女の裏巫女、そして、ひが日死の巫女、皆水の巫女の表巫女、それぞれの封印を破って初めて、サイバディは島の外へと持ちだすことができる」
 レイジが皆水の巫女、といったところで、わずかにケイトの眉が動く。レイジがそれに気づいたかどうかは分からない。

「キミも、島から外に出ようとしたことがあるだろう。だが、外には出られなかったはずだ。四方の巫女は決して島の外に出ることはできない。もし、キミの大切な人が島の外に出て行ってしまったらどうする?キミには絶対に追いかけられないんだ。結界が解かれない限りはね」
 ケイトには何の変化も見られない。大丈夫。あの人は決して島の外へは出ないだろう。なぜなら、皆水の巫女が外に出られないのだから。

 レイジはそこでしばし言葉を止めた。夕日がだんだんと水平線のかなたに沈んでいく。空は赤から青へ、そして夜色を目指して徐々に変化していく。そんな変化をよそに、レイジがまた口を開いた。
「いやあ、しかし、この封印のシステムを考えたヤツは相当に悪辣だよ。四方の巫女という人柱を立てて島に縛りつけ、彼女たちが死ねば、封印のかなめは次代の巫女へと引き継がれる。キミたちの一族は、封印に縛られて永遠に生きていくのさ。途中で投げ出すことは許されない」

「それに、孤独な王さまもかわいそうだ。代々受け継ぐ同じ名前を持ち、時代を超えて王であり続けることを強制される。それなのに彼を取り巻く人々は、彼の持つ強力な第一フェーズの力を恐れ、島から外へ出ることを許さない。知ってるかい?彼はね、島の外へ出ようとすると殺されるそうだよ?それが彼らの掟なのさ。彼は王でありながら、この島という牢獄に囚われた囚人でもあるんだよ」
 ひざの上に置かれていたケイトの手が、きゅっと握りしめられる。

 そのときレイジは芝居がかったしぐさで立ちあがり、ケイトの顔をのぞき込むように言った。
「そうだ!もし昔ばなしにある様な悪い大臣が、この王国に現れたらどうなるだろうね。悪い大臣からすれば、強大な力を持つ王さまは邪魔なんじゃないかな?そうなると、悪い大臣は王さまの食事に毒を混ぜたりして、殺してしまうかもしれないね」
 先ほどの握りしめたケイトの拳はより強くしぼられ、その手からは段々と血の気が引いていく。真っ白になる彼女の手は、夜色の中でよく目立った。

「さて、暗くなって絵も描けないし、今日のスカウトはこれくらいにしておくかな。いきなり決めるのも難しいだろうしね。また会いに来るから、それまでに考えておいてくれるかな?」
 レイジはそう言うと、手早く画材を片づけた。
「そうそう、これを言い忘れていた。オレたちの組織の名前は、綺羅星十字団!」
 言い置いて立ち去るレイジの姿を横目で見やりながら、ケイトは小さくつぶやいた。

「綺羅星十字団…」

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-2-

 レイジと出会った翌日。ケイトは学園の校舎の屋上にいた。

「壊れて始まる。命が生まれる。いまは気付けなくても、胸のなか、受け取っているの~」

 ケイトがまだスガタやワコと遊んでいた小さい頃には、ワコと二人で、スガタの前でよくアイドルごっこをしていた。それは、いまもケイトの趣味として続いている。
 いつもはカラオケ・ニチゴの空き部屋で歌うのだが、嫌なことがあった時などは、こうして誰もいない場所でひっそりと歌うこともあるのだ。

 昨夜のレイジとの恐ろしい邂逅の後、自宅へと帰ったケイトは、ほとんど一睡もできなかった。

 あの男は!こともあろうに、スガタくんを人質に自分を脅してきたのだ。自分の言うことを聞かなければ、スガタが死ぬ、と。自分ののせいでスガタに迷惑がかかる選択などあり得ない。
 しかし、ただあの男の言うことを聞けば、際限なく言いなりにならなければいけないだろう。

 ケイトはあの一瞬でしかレイジのことを知らないが、そういうこずるい匂いを感じていた。そしてそのことがケイトを悩ませるのだ。


 歌を歌い終えたケイトが屋上から見下ろすと、下校していく生徒たちの流れが見えた。つらつらと頭を悩ませながら見ている流れの中に、ケイトは知っている顔を見つけた。シンドウ・スガタだ。そして彼の近くには、いつものように、アゲマキ・ワコがいる。
 何の悩みもないように見えるあの女は、能天気なアホ面を下げ、スガタくんのまわりをちょこまかとまとわりついている。スガタくんを思ってわたしが悩んでいるのに、どうしてお前はそこにいられるんだ!
 そんなやり場のない怒りが、ケイトの心中を覆いそうになる。

 いや、そうじゃない。あの女は何も考えていないからスガタくんの側にいられるんだ。わたしはあの女と違って、本当にスガタくんのためになることを考え、行動することができる。だってわたしは、あの女とは比べ物にならないほど、スガタくんを愛しているのだから。
 やり場のない怒りに代わり、無償の愛、とケイトが信じるものが彼女の心を覆い始めた。

 そうだ。あの男、ミヤビ・レイジがスガタくんの命を狙うというのなら、アイツの仲間になった振りをして、アイツの行動を誘導してやればよい。最終的に封印を解くことになるのは避けられないが、封印を解けば逆に、スガタくんを永遠の牢獄から解き放つこともできる。わたしはスガタくんにとって、スガタくんを開放したただ一人の人間になることができるんだ!
 スガタにとってのただ一人の人間。その思いつきは、ケイトの逡巡をたやすく振り払う力があった。


 学校からの帰り道。ケイトが使う最寄りのバス停に、あの男、ミヤビ・レイジの姿があった。
「やあ、ケイトちゃん。いま帰りかい?」
 軽薄そうにレイジがケイトに声をかけてくる。
「ケイトちゃん、なんて、軽々しく呼ばないでもらえるかしら。わたしたちは対等のパートナーになるのでしょう?」
 ケイトは、レイジを軽く睨みつける。

「…オーケイ、悪かった。これからは気をつけるようにするよ。それより、パートナー、と呼んでくれるということは、昨日の申し出を受けてくれる、ということなのかな?」
 レイジはひじから先だけで軽くバンザイをして恭順の意向を示すと、ケイトに確認の言葉を放った。

「ええ、いいでしょう。ただし、いくつか条件がある。それをのんでもらうわ」
 そう言うケイトの目には、これまでにはない、強い意志の光があった。
<了>



第1話 そして物語は始まる

第2話 夢、絶望、それでも信じられるもの

第3話 目覚める刃

第4話 解けるしがらみ、絡むしがらみ

第5話 離陸前夜

第6話 雪山のきずな

第7話 論理を拒む奇妙な闇

第8話 南南西に進路をとれ

第9話 新しい季節に

第10話 貴方のために流す涙

第12話 物語のゼロ時間につづく>

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