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第03話 揺れる鼎 STAR DRIVER 輝きのタクト TidbiT

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STAR DRIVER 輝きのタクト 二次創作

 以下の作品は、「STAR DRIVER 輝きのタクト」の二次創作作品です。公式作品とは一切関係ございませんので、その点をご承知置きの上、お読みいただければ幸いです。

STAR DRIVER 輝きのタクト TidbiT 第03話 揺れる鼎



「ねえ、今日は部活もないし、ちょっと寄り道して帰らない?」

 帰りのショートホームルームが終わった教室で、ワコがスガタとボクに話しかけた。ボクたち3人は、ワコの机の近くに集まっていた。
 いつもと同じ放課後、いつもと同じメンバー。そんな日常の中にも、昨日と違う今日があるんじゃないかと思えるのが、ボクたち若者の特権だ。そしてそれをもたらしてくれるのは、大きなイベントばかりじゃない。

「ダメ?スガタくんも、タクトくんも、今日は何か用事がある?」
「いいや、特に何もないさ。問題ないよ」
 ボクの隣でいつものように涼しげな微笑を浮かべてワコを見ているスガタは、当たり前のように答える。
「ボクも特に何もないよ。寮に帰っても部屋にいるだけだしね。それなら3人で遊びに行った方が楽しいよ」
 ボクも当たり前のように答える。昔から3人一緒だったかのように。ボクが2人の間に割り込んでいるわけではないと言い訳するように。

「そう、良かった!じゃあ、3人で街に繰り出しましょう!」
 ワコはボクがそんなことを考えているなんて、少しも思っていないだろう。陰りのない満面の笑みをたたえている。そして、自分の通学カバンをつかんだかと思うと、颯爽と教室から飛び出して行った。
「ワコらしいな」
 そういうスガタは、そんな突然のワコの行動になれているのだろう。ただ苦笑するだけだ。ボクもそんなスガタに苦笑を返す。ボクもキミと同じ様に感じているんだよ、という風に。
 そして二人でワコを追いかけた。


 ワコに先導されてやって来たのは、南十字島のショッピングモール。島最大にして唯一のショッピングモールには、たいてい何でもそろっているんだ。

 ワコはカバンを後ろ手に持ち、鼻歌を歌いながら、スガタとボクの前を歩いている。なんだかスゴク楽しそうだ。そしてそんなワコを見ていると、ボクまで楽しい気分になって来る。
 隣を歩くスガタも似たような気分なんだろう。クールな表情の中に、どこかいまの状況を面白がっているような感情が見え隠れしている。

 陽気な足取りで、モールのメインストリートにある店を見回しながら歩いていたワコは、突然、1軒の店の前で立ち止まった。ボクたちもワコにつられて立ち止まる。

「このお店に入ろっ!」
 そう言ってワコが指差したのは、低価格が売りのアパレルショップだった。

「いらっしゃいませ!」
 笑顔と元気な声であいさつしてくる店員のおねえさんに会釈を返し、ボクたちは店の中に入っていく。
 そこには、アパレルショップらしく、老若男女、様々なシチュエーションにあわせた服が、ずらりと並んでいた。あまりファッションにこだわる方ではないボクは、どこか気おくれしてしまう。

「ねぇ、ワコ。このお店で何をするつもり?」
 ボクはワコに顔を寄せ、何となく声をひそめて聞いてみた。
「二人にはここで試着をしてもらいます!」
 ワコは一歩前へ進むと、その場でくるりとターンし、ボクとスガタを見据えて、そんな宣言をしたのだった。

「ええと、じゃあ、スガタくんはこれに着替えてきて。タクトくんはこっちね!」
 ワコは、店の中から選び出してきた服をボクとスガタに押し付けて来る。

「ワコ、この服は趣味が悪すぎないか?」
「ええと、これ、どう見ても女物なんだけど…」
「異議は認めません!さあ、あちらへどうぞ。まずはスガタくんから!」
 口々に異議を唱えるスガタとボクに対して、ワコが決然として指差したのは試着室だった。

 数分後。
「着替えたけど、どうすればいいんだ?」
 試着室のカーテンの向こう側から、戸惑った様なスガタの声がした。
「じゃあ、カーテンを開けるから待ってて。せ~の!」
 ジャッ!
 ワコがカーテンを開けると、その向こう側からスガタが姿を現した。
「おお、いいんじゃない?ぜったい似合ってるよ」

 ワコの視線の先にあるスガタは、制服の上着を脱いで、代わりに売り物のシャツを着ていた。そのシャツの真ん中には、ピンクの可愛らしい、大きなうさぎのイラストが描かれている。どう見てもクールなスガタとは対極にあるシャツだ。
「…う~ん?似合ってるような、可愛らしすぎるような…」
「だからいいんじゃない!たまにはスガタくんもそのクールな仮面を脱ぎ捨てて、可愛らしさを強調すべきだよ!」
 ワコは握りこぶしを振り上げて力説をしている。そんなワコの方がかわいいよ。

「こんなシャツを着て帰ったら、ジャガーとタイガーにすぐ着替えさせられるだろうな。もういいかな?」
 スガタはそう言うと、試着室のカーテンを閉めて着替えを始めた。
「ああん、ちょっと待って。写真だけ撮らせて!」
 そう言って携帯電話を取り出したワコは、カーテンの前でとび跳ねている。けれども、もうスガタは出て来る気はないみたいだ。
 こういう子供っぽいワコも、本当にかわいいと思う。

 その数分後。ボクは試着室の中にいた。
 手にはワコから渡された服を持っている。恐るべきことになんとキャミワンピだ。スガタのピンクうさぎと比べても、かなり上をいっている。
 服自体は、淡いパステルカラーをベースに、所々に黒をあしらっている、かわいらしいものだと思う。…ただし、女の子が着るならば。これをボクが着るの?ムリじゃない?

 もっとも、ワコさまからの指令なので、着ないという選択肢はありえない。とりあえず制服を脱いでパンツ一枚になってみたものの、女物の服を着た経験はないので、どうやって着たら良いかすら分からないんだけど…。
「なんだろう?これ、首の所から足を通すの?上から被るの?上からかなあ?でもこれ、上から被ると、スカートを覗いてるみたいな気分になるなあ。なんかドキドキするなあ」

 なんか変な気分になったけれど、いちおう着終わったので、ワコに声をかける。
「ワコ~。終わったけど~」
「タクトくん、じゃあ、開けま~す。じゃ~ん」
 そうして開いたカーテンの前にいるのはワコとスガタ。ボクは試着室から出て、二人に披露する。
「どうかなあ?なんか変じゃない?足元がスースーするんだけど」
 その場でくるりと回ると、スカートがふわりと浮きあがり、素足が風に触れる。新しい感覚だ。

「…お~。う~ん、ゴメン、やっぱり無理があったみたい…」
「え~、それってひどくない?ワコが着させたんだから、もうちょっとフォローしてよ!」
 ボクはちょっと怒ったように言う。
「ゴメン、ゴメン。うん、すごくかわいいよ?」
「ぜんぜん本気に聞こえないよ!もう着替えるからね。…もう、もうちょっと褒めてくれてもよいのに」
 試着室のカーテンを閉め、ファスナーを降ろして、ふと思う。あれ、そう言えばスガタはどんな表情をしていたんだろう?見逃したな。

「ゴメン、ねえ、もう許して~。何かおごるからさ~」
 店から出ても怒ったふりをつづけているボクに、ワコが一生懸命あやまってくる。一生懸命なワコもかわいい。
「…しょうがないなあ。遠慮しないよ?」
「今月はピンチだから、手加減をおねげえします、お代官さま~」
「ぜったい、ワコの食欲がピンチを招いているんだよね!」
「そんな!ひとを食欲魔人みたいにいわないでよ」
 今度はワコが怒ったふりをする。こんなちょっとしたやりとりが本当に楽しい。なにか、つながっている、という感じがする。

「そう言えば、スガタの感想を聞いてなかったけど、どうだった?」
 仲間はずれにするのは心苦しいので、後ろで静かにしているスガタにも話を振ってみよう。
「…なるべく早く忘れるようにするよ」
「大概ひどいコメントだよね!」
 そんな、スガタらしいコメントをいただきました。


 ワコのおごるという約束を守ってもらうため、ボクたちはイーターを目指していた。海岸沿いのバス停から、バスに乗って向かう。
 このバス停は、ボクにとっては、とても思い出深いバス停だ。ワコと二人だけ、サイバディの作りだした世界に閉じ込められたとき、サイダーを回し飲みしたバス停なのだ。それを思いだし、ワコにその話を振ろうと思う。スガタと同じ様に、ボクにだってワコとの思い出はあるんだということを示す様に。けれど…。

「…ねえ、ワ、」
「そうだ、スガタくん。覚えてる?昔、この近くでトーテムポールを作ったこと」

 ボクがちょうど話し出したタイミングで、ワコがスガタに話しかけてしまう。
「ああ、覚えているよ。ワコとケイトと3人でつくったね」
「あのときは、偶然、材料を拾ったと思っていたけれど、今になって思い返してみると、絶対、スガタくんが材料をこっそり準備していたよね?そうでしょ?」
「何のことかな?記憶にないけど」
「うそ!絶対おぼえてるでしょう!」
 ワコとスガタが、ボクには分からない昔の思い出の話をしている。3人でトーテムポールを作った話は聞いたけれど、その材料の話なんて、ボクは知らない。

「そういえば、さっき、タクトくん、何か言おうとしていなかった?」
 暗い思いにとらわれていたボクに、ワコが思い出したように話しかけて来た。
「うん、そうだっけ?何だろう?忘れちゃった」
「もう、タクトくんまで忘れちゃったの?仕方がないなあ」
 だって、そういうしか仕方がないじゃないか。他に何を言えばいいの?

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☆==


 ワコの思いつきで着せ替え人形にされたタクトとオレは、そのおわびでワコがタクトにおごるというので、食堂イーターへと向かった。

 それはそうと、タクトの女装はなかなかに面白かった。さっきタクトが話しかけて来た時には興味がないふりをしておいたが、あの姿はバッチリと写真におさめてある。着替えたとき、タクトはワコの反応しか見ていなかったからな。
 このネタは、何かあった時の切り札にしよう。

「いらっしゃい、ワコちゃん。今日も両手に花、ならぬ、両手にイケメンだね!」
 イーターのマスターがそういって、オレたちを迎えてくれる。
「マスター、テラス席、使うね!」
 そうマスターに断ると、ワコはテラス席に歩いて行く。オレとタクトもワコの後に続いて席につく。
 この時間のイーターには、ほとんど客がいないようだ。店の中を見てみても、誰も見当たらない。本当にこれで経営は成り立っているんだろうか?他人ごとながら少し心配になる。

「わたしは、クラムチャウダーとペスカトーレと、マルゲリータ!タクトくんは?」
「じゃあ、アイスコーヒー」
「そんな遠慮しないでよ。食べ物も1品までなら頼んでいいよ!」
「そう?じゃあせっかくだから…南十字バーガーください」

 ワコの大量注文はいつものことだが、今日はタクトがワコに付き合って、ハンバーガーを注文している。
 しかしこのお店も、何の店かよく分からない。食べ物は大体何でも出て来る気がするな。マスターがそれほどの名コックには見えないのだが、奥に誰かいるのだろうか?
 それはともかく、オレも何か注文すべきだろう。
「オレはホットティーを。アールグレイで」
「…なんか、スガタの注文って、カッコイイよね」
 ただの紅茶の注文に、タクトがそんなことを言ってきた。カッコイイか?
「そうか?いつも飲んでいるから注文しているだけなんだが」
「そういう環境にいるのが、スゴイんだよ。やっぱりお金持ちは違うなあ」
「そういうものかな?生まれたときからだから、よくわからないな」
 自分が望んで生まれた家でもないし、望んで手に入れた環境でもない。

「いやあ、今日は楽しかったですなあ」
 場の空気が濁りはじめたのを感じたのか、テーブルに身を乗り出して注意を惹きつけたワコが、話題を変える。
「楽しかったのはワコだけじゃないの?」
「そうだな。オレたちはワコの娯楽に付き合わされた被害者の様なものだ」
 ここはワコの話に乗っておこう。

「そんなこと言わないでよ。ねえ、スガタくんの分もおごってあげるからさあ」
「いや、いい。べつに金には困っていない」
「そうかもだけど~」
 ちょっとからかっただけなのに、真剣に悩むワコを見るのは面白いな。

「でもこうやって、ワコと一緒に街を回るのは、あのとき以来だよね」
 今度はタクトが話題を変えて来た。自分が話に入れないのが寂しいのだろうか。タクトは意外にさびしがり屋な気がする。
「あのときっていうと…ああ、あのときね…」
「あのときというと、いつだ?」
 タクトとワコが二人で行動している記憶はあまりないのだが…いつのことだろう?
「あのときだよ、スガタの誕生日」
 タクトの言葉にオレは思いだした。たしかにあの日は、オレは先に帰ったからな。
「ああ、そうか。オレの誕生日か…」

「…まだ自分の誕生日が嫌い?」
 ワコが心配そうな表情でオレを見上げて来る。そんな顔をさせたことに、心苦しさと、優越感の様なものを感じてしまうオレは、どこかおかしいのだろうか?
「いや、もう特に何とも思わないな。自分の血に課せられた運命は理解したし、その運命と戦う仲間もいる。…タクト、お前のことだぞ」
 これは半ば本気でもあり、半ば嘘でもある。ワコを守るという役割を奪われた様な気がしているのも事実だ。
「え、そんな。照れるな。男から褒められても嬉しくない」
 そう言ってタクトは照れている。単純なヤツだ。

「そう言えば、タクトくんの誕生日っていつなの?」
 ワコがタクトにそんな質問をした。それは確かに知らないな。
「ボクの誕生日?もう今年は過ぎたよ」
「へえ、そうなんだ。お祝い出来なくて残念!で、いつだったの?」
 はぐらかす様な答え方はタクトらしくない。何か言いたくない理由でもあるのだろうか。

「…スガタと同じ日だよ」
 しばらくして、吐き出すように答えたのは、そんな内容だった。となりのワコをみると、なぜか絶句している。
「え!ホントに!どうして言ってくれなかったの!」
「いやあ、あの日はそれどころじゃなかったしさ…」
 たしかに、あの日は綺羅星十字団が襲ってきたり、オレが倒れたり、色々あったことは事実だろう。しかし、それだけなのだろうか?

「たしかにそうだけど…でも、わたし、ぜんぜん気付かなかった。それに、タクトくんにすごくひどいことをした…」
 ワコがそう言ってうつむく。その表情はオレからはよく見えない。いや、本当はみたくないだけなのかもしれない。
 タクトはそんなワコを元気づけるように声をかける。
「いや、そんなことないよ。ボクはワコから、そしてスガタから、すごく大切なものをもらっている。だから、ひどいことなんて何もされてないんだよ?」
 一生懸命に、タクトがワコをなだめている。そんなタクトの説得を受けたのか、しばらくするとワコが顔をあげた。そしていう。
「…本当に?慰めじゃなく?」
「もちろん!」
「…そっか。…でも、来年は盛大に誕生日をお祝いするね、スガタくんと一緒になっちゃうけど」
「うん。楽しみにしているよ。スガタも出席してくれるよね?」
「…ああ、その日は空けておくよ」
 ああ、たしかに出るしかないだろう。
「じゃあ、二人の誕生会だね!楽しみだな~」
 ワコが嬉しそうに笑っている。その笑顔は、オレの誕生日を祝えるからなのか、それとも…。

 そのどちらなのか、答えはオレには分からない。ただはっきりしているのは、ワコがあんな表情で他人を思いやるのは、もう、オレに対してだけじゃない、ということだ。この釈然としない感情はなんなのだろう?

「はい、おまちどう。クラムチャウダーとペスカトーレね。他のもすぐに持ってくるよ!」
 そんなマスターの声で、オレは目の前の現実に引き戻された。

<了>


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第04話 10歳のわたしにへつづく>

第01話 サブキャラだって恋をする

第02話 メイドさんは見た?

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